療法室

早期自立・安定したQOL(生活の質)の高い生活へ
回復期から生活期までの一貫した総合的リハビリテーション

病気や怪我によって身体や精神に障害が生じると、今までできていた日常生活が困難になります。





そうした際に持っている能力を最大限に引き出し、また新たな能力を開発、生き生きとした生活を実現するために行われる一連の働きかけを「リハビリテーション」といいます。





当院では、療法士は約60名のリハビリテーションスタッフ(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士)が、患者様のご希望を実現するために日々、努力を重ねています。





さらに、併設施設であるデイケア・訪問リハビリテーションなど、各種在宅サービスを整備しており、在宅復帰後も継続してリハビリテーションを受けることが可能です。





入院から在宅復帰後も、一貫して関わることで、患者様・ご家族が住みなれたご自宅や地域で、安心して“その人らしく”幸せに生活を送れるようにサポートさせていただきます。

  

回復期リハビリテーション病棟

 「回復期」とは、急性期病院での治療が終わった後の、集中的なリハビリテーションにより、身体の機能や日常生活動作(ADL)の改善が見込まれる時期のことを指します。
 脳卒中や骨折を例にとると、生命を救うことや手術を行うことが急性期病棟の役割であり、これに対して、患者様が希望する生活が送れるように、集中してリハビリテーションを行うことが、回復期リハビリテーション病棟の役割になります。
 家庭・社会復帰を目指して訓練を行いますので、訓練室でのリハビリテーションだけでなく入院生活そのものがリハビリテーションとなります。
 リハビリテーションの内容は、医師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士等の専門スタッフがチームとなって、リハビリテーション計画を作成し、それに基づいて実施されます。
 当院では、1人最大3時間までリハビリテーションを行うことができます。また、土・日・祝日にもリハビリテーションを行う365日体制となっており、充実したリハビリテーションを提供するための環境を整えています。

当院の回復期リハビリテーションの特徴

当院では、患者様・ご家族の希望を叶えるべく、充実したリハビリテーションとして、厚生労働省が定める1日に実施できる訓練時間の上限である3時間を目指し、毎日休むことなく継続してリハビリテーションを行なうことで、最大限の機能回復を図って行きたいと思っています。
 また、入院中のリハビリテーションだけではなく、併設施設であるデイケア・訪問リハビリテーションなど、各種サービスを整えており、ご自宅に帰られた後も継続してリハビリテーションを受けることが可能です。入院から在宅復帰後も、一貫して関わることで、患者様・ご家族が住みなれたご自宅や地域で、安心して“その人らしく”幸せに生活を送れるようにサポートさせていただきます。

充実したリハビリテーションを目指して

リハビリの『質(技術)』はいうまでもなく大切です。しかし、その上で『量(訓練時間)』も非常に大切になってきます。
回復期リハビリテーション病棟協会が全国754病院から回答を得た調査では、「患者様の1日あたりの訓練時間が長くなるほど、退院時の日常生活の機能が高くなるという傾向」が報告されています。当院では、毎日充実したリハビリテーションを受けることができる環境を目指し、リハビリテーションの『質』と『量』を最高水準に高めて行きたいと考えています

リハビリカンファレンス

 ◆ 入院カンファレンス

   入院後2週間以内にまず、医師・看護師・介護士・療法士・医療相談員など、関係する専門スタッフが集まり、患者様の情報を共有するためのカンファレンスを行っています。患者様お一人お一人の状態に合わせた目標・治療計画を立案し、チーム一丸となりご希望を実現できるように取り組んでいます。

 ◆ 経過カンファレンス

   入院後は毎月行われ、それぞれの専門職が治療経過などの情報交換および計画の微調整を行い、退院までのアプローチや課題を共有します。きめ細かい情報を基に全員リハビリテーション計画を立案し、定期的に見直し、早期の機能回復、能力向上を目指します。

 ◆ 退院前カンファレンス

   退院後ご自宅でお世話になるケアマネージャーや訪問リハ・デイケアスタッフなどに来院いただき、当院スタッフから現在の状況報告を伝えさせていただきます。ご自宅で最適なサービスをうけることができるように、必要に応じて関わらせていただきます。

退院前家屋訪問

  退院が近づくと、必要に応じてリハビリスタッフや医療相談員等による自宅訪問を実施しています。
住宅改修の助言や福祉用具の検討、また在宅生活における指導などを積極的に行い、安全で安心な生活を送れるように関わらせていただいています。

維持期病棟の
リハビリテーション

  当院の障害者施設等病棟は、パーキンソン病・脊髄小脳変性症などの神経難病の方が多く入院されています。
 リハビリテーションでは心身機能の維持・向上とQOL(生活の質)向上に重点を置き取り組んでいます。
 入院生活を「生活の場」と捉え、訓練室のリハビリだけでなく、病棟での日常生活においても、医師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士等の専門スタッフが連携を取りながら、患者様の能力を活かした質の高い生活(希望される生活)を目指し、日々努力をしています。

維持期リハビリの特徴

 ◆ 患者さまのご希望に添えるように、QOL(生活の質)向上に重点を置き、リハビリテーションを実施しています。

 ◆ 呼吸療法認定士の資格を取得したスタッフが在籍しており、呼吸療法に力を入れており、重い障害をお持ちの方に対しても、しっかりとリハビリテーションを実施しています。

 ◆ 病状に合わせて福祉機器(コミュニケーション機器など)の導入を行い、患者様のQOLを支援しています。

 ◆ 楽しみをもって離床できるように、リハビリスタッフによる集団リハビリテーションを実施しています。

リハビリ専門職の紹介

 みなさまの幸せなくらし、笑顔を創造するために、質の高いリハビリテーションを目指し、日々取り組んでいます。
 療法士は、基礎医学に基づき、病状を踏まえて、その方にとって最適な治療プログラムを作成します。

●理学療法

  理学療法は運動療法や物理療法を用いて、失われた身体の機能を取り戻す治療法の一つです。理学療法士は、病気やケガの回復を促し、社会や日常生活に戻るまでの役割を担います。さらに、生き甲斐やその人らしさをサポートしていきます。

理学療法の特徴

 運動療法

  筋力をつけたり、麻痺の回復を図ったり、バランスや持久力などの身体機能の改善を目的に運動療法を行います。

 「歩く」「立つ」などの動作訓練

  「歩く」「立つ」「起き上がる」などの日常生活に不可欠な基本動作能力の改善を目指します。

 物理療法

  「麻痺の回復」や「痛みの緩和」などの治療目的に応じて、温熱や電気などを利用した物理療法を行います。

 生活のアドバイス

  ご自宅などで快適に生活ができるように、福祉機器の選定・利用方法や住宅改修のアドバイス、ご家族への介助指導などを行ないます。

 職業復帰や社会参加に向けた訓練

 「尊厳ある自立」と「その人らしい生活」を実現するために職業復帰や社会参加のお手伝いを行います。

●作業療法

  日常生活動作に必要な応用動作(トイレ・食事・入浴・家事・仕事・趣味など)、上肢・手指の機能訓練や高次脳機能障害に対して訓練を行ないます。





社会復帰や日常生活に必要な動作の獲得を図り、患者様の能力を最大限に活かし、自立生活の援助に貢献していきたいと考えています。

作業療法の特徴

 上肢・手指の運動療法

  運動麻痺や骨折などにより、上肢・手指の機能障害を呈した場合に、徒手療法や作業活動を通して機能訓練を行います。

 日常生活動作訓練

  「座る」「立つ」「歩く」という動作を「着替える」「お風呂に入る」「トイレに行く」「家事動作」など、日常生活に活かせるように動作訓練を行います。
  その際には、実際の自宅環境を想定して行うため、作業療法室には和室やキッチンを完備しています。

 高次脳機能障害に対する訓練

  脳卒中などにより、高次脳機能障害(注意障害・記憶障害など)を呈した場合に、訓練を実施し改善を促すとともに、代償手段の検討なども行います。

 作業活動を用いた訓練

   作業活動(パソコン、手芸、園芸、将棋など)を通して、「上肢・手指の機能訓練」「高次脳機能訓練」「職業復帰訓練」などを行うこともあります。
  また、ご希望に応じて、家庭での役割や趣味活動(生きがい)の再獲得を目的に作業活動(畑仕事、手芸・木工など)を行うこともあります。

●言語聴覚療法

  話す、聞く、表現する、食べる・・・誰でもごく自然に行っていることが、病気や事故などで不自由になることがあります。
  こうした、ことばによるコミュニケーションや嚥下に問題がある方々の機能回復や社会復帰をお手伝いし、自分らしい生活ができるよう支援させていただきます。

言語聴覚療法の特徴

 言語障害に対する訓練

 「言語障害(成人)」とは、代表的なものに失語症があり、脳卒中や交通事故などによる脳外傷などが原因で起こる、成人の後天的な言語機能障害で、伝えたい内容を単語や文で表現したり、単語や文の意味を理解することが困難になる障害です。
 また、失語症以外の「高次脳機能障害(記憶障害や認知症)」に対しても、言語聴覚士は患者様一人ひとりの症状や発生メカニズムを把握し、それに対応したプログラムを組み立てて訓練を行います。

 「話すこと」の障害に対する訓練

  言語障害でも「話すこと」のみの障害があり、具体的には「構音障害」を指します。 声帯や舌、唇などを使って話す動作を「構音」といいます。
  この発声発音器官に障害がある構音障害も、言語聴覚士による評価・訓練の対象となります。

 「食べること」の障害に対する訓練

 「食べること」の障害とは、具体的には「摂食・嚥下(えんげ=飲み込むこと)障害」などを指します。
  食べ物が口からこぼれる、うまく飲み込めない、むせる、といった摂食・嚥下障害に対して、原因の調査と、「咀嚼して、飲み込む」ために必要な器官の運動訓練や、飲み込む反射を高めるための訓練を行います。

よくあるご質問・ご相談の事例

患者様・ご家族様から、よくいただくご質問やご相談事例です。参考にご覧ください。

 ①  回復期リハ病棟の1日のリハビリ時間はどのくらいでしょうか?また、毎日リハビリはありますか?

  現在は平均で2時間40分程度。患者様の状態などにより多少前後します。
 また、リハビリは正月も含めて毎日実施しています。

 ②  リハビリに関わるスタッフはどのような職種でしょうか?

  理学療法士,作業療法士,言語聴覚士の専門職が訓練を行ないます。
 PT、OT約25名ずつ、ST約10名のおよそ60名で対応させていただきます。

 ③  回復期リハ病棟の入院期間はどのくらいを考えておけばよいでしょうか?

  平均的な入院日数は70日~90日です。
 しかし、患者様の病状、リハビリ目標、経過、転帰後の生活などを勘案して入院期間が決定されますので、早い方では1カ月程度で目的を達成して退院されますが、入院でのリハビリ継続の意義が認められる方は180日(6ヶ月)程度まで入院していただいています。

 ④  退院後の生活はどのように考えておけばよいでしょうか?

  当院の回復期リハ病棟からの退院先は7割程度の方が、ご 自宅に復帰されています。しかし、患者様の障害の程度やご家族様の事情などにより、療養型病院や施設へ転院される方もいらっしゃいます。

リハビリでの回復の程度などを踏まえてから、退院先については相談していければと思います。

 ⑤  自宅復帰した後、リハビリはどうなるのでしょうか?

  当院では、自宅復帰後も継続して関わらせていただくことが可能です。しかし、入院時のように毎日の実施は難しく、要介護度などの状況にもよりますが、訪問リハやデイケアなどであれば、週に最大で3回程度となります。
 *当院からの訪問リハやデイケアに関しては三木市と小野 市の一部となります。詳細についてはお問い合わせください。

遠方の方は近隣の事業所にしっかりと引き継がせていただきます。

 ⑥  障害者施設等病棟(神経難病)のリハビリも毎日ありますか。

  障害者施設等病棟のリハビリは平日のみとなり、毎日ではありません。また、頻度は主治医の指示にもよりますが、障害者施設等病棟では、各療法が週に2回~3回程度になります。

 ⑦  レスパイト(短期)入院の場合は、リハビリはどうなりますか。

  レスパイトの方のリハビリは平日のみとなり、毎日ではありません。リハビリの頻度は患者様の状態により主治医が判断となりますが、各療法が週に2回~3回程度になります。